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「ゼブラーマン−ゼブラシティの逆襲−」

悪者なぎ倒す電脳紙芝居

「ゼブラーマン2」
 さえない小学校教師・市川新一(哀川翔)が、正義の味方ゼブラーマンに変身し、悪者をなぎ倒す勧善懲悪劇。2004年公開の前作に続き、監督は三池崇史。脚本は宮藤官九郎。
 三池ワールドの基調は、ナンセンスとバイオレンスの強烈なはじけ方にあり、徹底した娯楽性が見る者をしびれさせる。物語の設定は前作から15年後の2025年。ゼブラシティと名を変えた東京が舞台だ。

現代風にSFの味付けが施されている。警察官が犯罪抑制を名目に、1日5分だけ無条件に民間人を撃ち殺せるゼブラタイムが設定されている。ゼブラーマン(哀川)はその犠牲となって治療中。おまけに記憶喪失だった。
敵は、ゼブラタイムを導入した都知事の相原公蔵(ガダルカナル・タカ)と、その娘でゼブラクイーンこと歌手の相原ユイ(仲里依紗)。彼女が黒ゼブラーマンだ。仲は、「時をかける少女」とは全く違う、超過激な衣装で歌い踊る。

哀川の主演百本目を記念して製作された前作は、市川が、たった七話で打ち切られた特撮ドラマ「ゼブラーマン」に心酔。手作り衣装でコスプレまでするようになり、エイリアンと戦う−という内容。そのエイリアンの存在が今回の物語にも絡んでくる。
決めぜりふは「白黒をつけよう」「おれの背中に立つんじゃねえ」などと劇画的である。シマウマの白と黒、それを善と悪の対決になぞらえる分かりやすさ。かなりナンセンスなのだが、そこが作品の特徴といえるだろう。電脳紙芝居と呼ぶにふさわしい快作だ。
1時間46分。


「5月1日公開。丸の内TOEI」



東京新聞2010年4月30日号(夕刊)掲載

中川洋吉・映画評論家