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「インセプション」

知的興奮溢れるアクション活劇。



「インセプション」
(c)_2010_WARNER_BROS.ENTERTAINMENT_INC..
 人間何よりもシナリオの発想が秀逸。人間の頭の中に入り、アイディアを盗む設定にうなる。
監督・脚本のクリストファー・ノーランの才気と渋い俳優陣とのない交ぜが単なるアクションものとは異なる味わいがある。物語は二部に分れ、産業スパイとして活躍し、敵、警察に追われるコブ(レオナルド・ディカプリオ)は家族の下へ帰れぬ身となる。そこへ、日本人実業家サイトー(渡辺謙)から不可能と思われるオファーがもたらされる。成功すれば今までの人生を取り戻せ、家族との再会も叶うことに惹かれ、仕事を受ける。仕事とは「インセプション」と呼ばれ、アイディアの盗み出しではなく、逆に植え付けるもの。具体的にはサイトーのライバル社の巨大企業をつぶ潰すことを目的とし、臨終間近の大企業の統帥の息子の頭の中に乗っ取り意識を植え付ける作業。
  コブを中心にそれぞれのスペシャリストによるチームが編成され、活動を開始。ここからが凄絶なアクションの開始となる。超能力者は、パリの街の天地を逆転させ、想像力をそのまま現実化してみせる。最大のミモノシーンは、無重力状態の中での組んずほぐれつの大乱闘。CG合成ではなく、実際の装置の中でのアクション。もう一つ、仲間の乗るヴァンが橋から墜落するシーン、地上のバトルと夢次元の時差を利用し、ヴァンは中々川へ落ちない。見事な発想力である。冴えたインテリジェンスと従来のアクションの合わせ方が鮮やか。内容のある商業作品だ。
148分。





 

中川洋吉・映画評論家